みなさん、こんにちは!スタッフの井上です。いよいよ、新学年・新学期がスタートしますね。3月下旬に国公立大学後期試験の合否も出揃い、2023年大学入試もついに幕を閉じました。これまでは春休みの時期に、会員様向けの大学入試説明会を行ってきましたが、今年は、終わったばかりの本年度の受験動向をまとめた大学入試報告会を行いました。入試動向の概要は、前々回の記事で簡単にお伝えしておりますので、そちらもぜひご覧ください。報告会では、入試動向に加えて、今後受験生になっていく皆さんに志望校選び・志望動機作りについてもアドバイスをしました。その一つとして、「後輩たちのためなら!」と今年の受験生が志望理由を公開しても良いと言ってくれたので、個人が特定できない形で皆さんにも共有したいと思います。
Aさん 文系心理学科系 公認心理士志望
貴学人間関係学部心理学科で学びたいことは以下の2点です。
第一に、「心理臨床と医療」です。子どもが学校で心理的負担を負った際の心の変化、特にどのような援助でクライアントの病状を好転できるかに関心を持っています。将来は、学校の中でトラブル下に置かれた生徒を幅広い理論や技法を用いて支援できる心理士になりたいです。
第二に、「生涯発達と支援」です。特に脱中心化のあと協同遊びを行うようになるまでの心身の成長に強い関心を持っています。そこで、安立奈歩准教授の研究テーマは自身の興味と一致するので、ぜひ指導を仰ぎたいと考えています。クライアントの発達を正確に理解し、適切な支援を届けられる心理士になりたいと考えています。
Bさん 理系農学部系志望
生物基礎で学んだ細胞内共生に興味を持ったことがきっかけで生物を好きになり、その後、専門生物の、特に細胞や遺伝の範囲を履修したことで、ますます生物への関心が高まりました。一方で、社会科では地理を選択し、気候変動の問題を知りました。なかでも、食糧問題に関心を持ち、この世界的問題に貢献したいと思いました。私は、得意な生物を生かしてこの問題にアプローチしたいと思っています。
具体的には、特に熱帯以外の寒冷な地域の農作物が栽培限界を超えても育つように、遺伝子組み換え技術を活用できるのではないかと考えています。しかし、ただ開発するだけでは、「緑の革命」にみられるエチオピアやインドのように、かえって貧富の差が開いたり、塩害などで継続できなくなったりと、一時的な問題解決で終わってしまう可能性が高いと思います。現地で、持続的・長期的に食料問題を解決するためには、農作物・環境設備・技術者が必要と考えます。したがって、農作物の開発だけではなく、最終的には海外、特にアジア圏での技術提供をおこなうことを目標としています。
いかがでしょうか? ここに掲載するために、2名とも原文の半分かそれ以下の文章量に泣く泣く割愛していますので、本当はもっとたくさんの想いがあるのですが……。志望学部・学科に対する熱意があるのは前提として、大学に入ってから専攻したいテーマ、そして、大学卒業後のビジョンが具体的に決まっていますよね。新3年生は、推薦入試まで既に約半年になりましたが、どれくらい具体的に考えられていますか?もちろん、ここに挙げた2名も、最初からこんなにハッキリしていた訳ではありません。志望系統を決めるところからカウントすれば、年単位の長い時間をかけてじっくり練り上げられたものです。
生徒のみなさんには、早くから将来のことについて考えるきっかけを持ってほしいと思います。決める必要はありません、考えることが大切です。そして、保護者の皆様、ぜひご家庭で、少しでもお子様と将来のことを話す機会を持っていただければと思います。志望大学へのモチベーションは、あるとき勝手に湧いてくるものではありませんし、高3になったら決まるものでもありません。少しずつ対話のなかで決めていって欲しいと思います。